『その賑やかな夜に』ほどではないにせよ、少し季節はずれな『特別』を再アップしました。
微妙に細部が変わっているのですが、あまり大きな変更はないので一度読んだことがある人は読まなくても構いません。
いよいよ今年も終わりです。
今年はあまり更新が出来なかった気がするので、来年はもう少しマメに更新が出来るように頑張ります。
来年こそ、原作の続きが出てほしいなあ、と思いつつ。
続きにいま書いている新作の導入部分です。
予告だと思って読んでみてください。残りは全部書き上がったらアップします。
では、皆さんに幸せな来年が訪れますよう、祈っております。
涼宮ハルヒが突然何かを言い出すのは、今更言うまでもない奴の習性だが、それでもさすがにその提案は予想外だった。
「プールに行くわよ!」
ああ、そういえば夏休みにもプールに行ったが、その時もハルヒは突然だったな。いまと同じように、とりあえず水着を持ってどこそこに集合、それからプールに行くわよ…………って。
「おい、こら待てハルヒ」
「何よキョン、文句があるなら言ってみなさいよ。三百六十文字以内で」
原稿用紙一枚にも満たないじゃないか。
「昨日いきなり電話で『水着を持って集合!』と言うだけ言って電話を切ったことについては、まあいつものことだからもういいけど――」
俺は自分が着ている長袖の上着と、マフラーを指で示しながら言った。
「いま、十二月だぞ?」
その俺の台詞と共に身を切るような凍える風が、並び立つ俺達五人の間を流れていった。
思わず肩を竦める者、約四名。無論、例外の一人はこの季節によく聴く言葉と同じ音を持った名前の奴だ。
まあそいつはともかく――他の四人はこの寒空の中プールなんぞに入ったら、それこそ本気で異世界に行っちまうだろう。
その異世界とは勿論――『あの世』という名前だ。
(続く)
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